ゴミ問題を考える

〜 ゴ ミ も 資 源 〜
 

 21世紀に向けて今地球全体にとって最も大きな問題の1つが環境問題であるが、私たちの最も身近な環境問題に「ゴミ問題」がある。
 私たちは毎日生活をいとなんでいるのであるから、いつの時代でも、どこでもゴミは発生する。このゴミの処理経路は次のようになっている。

          *燃えるゴミ→→→焼却→→最終処理
一般廃棄物→ *燃えないゴミ→→→→→→埋め立て
          *資源ゴミ→→→→→→→→再利用・再資源化
                  (リサイクル)

 ゴミ間題が近年注目をあびてきている原因はいくつかあるが、@大量生産一大墨消責一大量廃棄の時代が続き、ゴミが街にあふれ、新たな製品や容器などの出現などでゴミの質がかわってきたために、ゴミの処理がしきれなくなってきたこと。
 Aゴミの処理の責任は地方自治体(市町村)が持っているが、ゴミの処理費用にとてつもないお金がかかってい る。日本の自治体が処理している一般廃棄物(ここではゴミを指すものとする)は平成6年度で5054万トン、1人1日当たりの排出量は1.1kg、これに 要する全国の自治体のゴミ処理費用は2兆1665億円である。
 Bいかにお金をかけてみてもゴミの焼却場を建てる場所がない。現存の焼却場においてはタイオキシンの発生など処理場の問題が多発していることが明らかになっている。
 C最柊処理場(埋立地等)の場所も逼迫している。一般廃棄物の処理場の残余年数は全国平均平成6年現在で8年足らずといわれている。
 八方ふさがりにみえるゴミ問題の解決策の1つとして注目をあびてきているのが、ゴミのリサイクル化(再利 用)である。これは最終処理するゴミの減量化とともに、資源回収を目的として各自治体が熱心に取り組んできた課題であった。ゴミのリサイクル化のためには ゴミの分別収集が必要である。今回はゴミの分別の問題からゴミ間題を考えてみることにする。

 (1) ゴミの分別

 ゴミのリサイクル化は限りある地球資源の再利用という面で地球環境問題とも密接な関連をもつが、ゴ ミの適正処理の中心となるものである。ゴミのリサイクル率の向上には再使用や再資利用しやすいようにゴミが分別されることが不可欠である。最近施行された 法律のなかで、この「ゴミの分別」にとって市民生活に関連したきわめて重要な法律の1つに「容器・包装リサイクル法」がある(平成9年4月より施行)。ゴ ミ一般廃棄物のなかで容積比で約60%、重量比で20〜30%を容器・包装廃棄物がしめているので、これの減量化、リサイクル化を促進することがゴミのリ サイクル化の核心となることから、容器・包装ゴミのリサイクルを目的とした法律である。この法律においては、ゴミの処理における役割分担は次のようにな る。

  −般家庭(市民) ゴミの排出と分別
   自治体(市町村) コミの収集と中間処理
  特定業者(製造業者、流通業者等)ヨミの再商品化

 分別や収集は市町村の市民や自治体の役割になっているが、この法律では義務にはなっていなく、どこま でやるかは各白治体の判断にまかされている。分別収集実施のためには、自治体の投資が必要となる。すなわち分別収集費用は地方自治体の負担(公的負担)で あり、容器包装利用製造業者は負担しない(この点は先行事例といわれるフランスと異なる)。ここで問題の第一は分別方法である。容器包装に限らず、分別を 徹底すれば、それだけ再利用の機会が増える。しかし分別の種類が増えるほど、市民の手間は増えるし、広い分別場所が必要となる。市町村の収集費用は増加す る。また商品価値に見合わない再商品もでてくる。これらの点を考慮して貴市町村は独自の事情によって、ゴミの分別方法や収集方法もきめている。「混ぜれば ゴミ、分ければ資源」といわれるが、分別にはコストがかかり資源化してもその商品価値が少ない場合などは、分ければ分けるほど自治体にとっては赤字になり 財政を圧迫するケースもでてくる。

 (2)ゴミ分別の形態

 前述のごとく、ゴミの分別収集をどこまでやるかは、各自治体の判断にまかされている。このことはそれぞれの自治体の事情により分別方法が異なってくるということになる。例えば筆者の住む吹田市(大阪府)は5種分別である。

 燃焼ゴミ   台所の燃えるゴミ、フラスチック等小さな燃えるゴミ
 資涼ゴミ   紙頬、ぴん、かん類、布
 大型複雑ゴミ 電気製品、タンス、布団、‘自転車等
 小型複雑ゴミ 160cm四方以下のゴミ
 有害危険ゴミ 電池類、蛍光灯、水銀体湿計等

 平成4年6月から3種類分別から5種類分別に変更した。同時に資源リサイクルセンターを完成させ、ゴミのリサイクルを稼働させた.
 各家庭から排出されるゴミは市町村で大きくかわることはないのであるが、各白治体によってゴミの分別方法が 異なるということは、ゴミが排出分別されると、その分類は自治体で異なってくる。両隣の豊中市と茨木市のゴミの分別基準はどうであろうか。例えばスプ レー缶は吹田市では資源ゴミ、豊中市では危険ゴミ、茨木市では普通ゴミとして取り扱われる。

 普通ゴミ 50cm未満
 粗大ゴミ 50cm以上
 資涯ゴミ ペットボトル・缶頬・ビン類

  また各自治体でどこまでの資源化率を目標にして分別回収するかという政策から「××市町村方式」と いう独自の分別収集方式がうまれる。きめのこまかい再資源化システムといわれる川口市(人口46万人)の「川口方式」は資源コミを「びん、かん、金属頬、 ペットボトル、繊維頬、紙パック」の6分類の分別を早くから始め、再生資源化率の向上を達成してきた。また我孫子市は16分別を実施しているが、日本一い や世界一厳しいゴミの分別をしているといわれているのは水俣市の21分類である。
 このように告白治体が独自の分別方式を生み出していく根拠となる各自治体のおかれた事情とはなんであろう か。市町村の規模(面積、人口)、焼却炉や埋め立て地の要領と建設地の有無(家庭系ゴミの処理地は原則としてその自治体内部に建設され処理される)、分別 収集に対する市民の認識の程度や協力の可能性(例えば東京など大都市では5種類以上の分別になると市民の不満が多く出てくるといわれる)、再資源化商品の 市場の程度、その自治体の体力(財政状態)も大きな要素である。また分別収集の作業の効率性(収集場所や運搬方法)等など多面的に検討して、費用と効果の バランスのとれた方法を各自治体が模索中であるというのが実態であろう。従って「混ぜればゴミ、分ければ資源」のスローガンのもとに分別の重要性は自治体 と市民ともに認識はすすんできているが、分別収集で分別種類が多いからよいとか、混合収集だから悪いとかはいちがいには言いきれない。

 (3)ゴミの分別からゴミ間題を考える
        −市民の協力ー

 上に述べた通り、たしかに「ゴミの分別収集−リサイクル化」への方向は同一であっても市町村ごとに、その市町村がおかれた事情(地域特性)によって、分別方法は異なる。市町村の数だけ分別方法があるともいえる。しかしいかに細分化した分別方法を採ろうとも、市民の協力がなくては、実効は期待できない。
 市民の協力の第一は分別排出の徹底である。自分の住んでいる市町村のゴミの出し方や分別方法に熟知し、その ルールに従って、コミの分別排出を徹底することである。例えばびんやペットボトルを分別排出してもフタやキヤツフを外さずいっしょに排出すれば、再資源化 するには、再度分別する必要が出てくる。資源化可能なダンポールや新聞紙を燃焼ゴミとして排出しているケースも多い。
 第二は積極的に再資源化商品の使用を心がける必要がある。再資涼化商品の市場が広がらなければ、リサイクル による循環社会は成立しない。トイレットペーパーには再生紙を購入し、再生資源を利用した繊維製品の文具を積極的に購入していく姿勢が大事である。(古紙 100%のペーパーを1家庭が1年間使うと、森林の立ち木の2分の1守ったことになる)。
 第三は最も基本的なことであるが、ゴミを出さないことである(ゴミの排出抑制)。過剰包装、容器の商品は買 わない。洗剤類やシャンプーは詰め替え用を使う。八イキングにはペットボトルではなく、水筒を持っていく。無料の割り箸やスプーンなどはもらわないなど、 日常の細かい生活行動がゴミ問題には大切である。主たる市民の協力方法をまとめると次の表のようになる。

  市民の協力  過剰包装の抑制 ――― パックシートの削減
                      ――― 買い物袋の持参
            使い捨て商品の抑制 ― 消費
                         ― 空缶・空瓶類の分別排出
            個別対応―――――― 厨房類 ――― コンポスターの利用
                           ― 廃食用油の再利用
                  ―――――― 耐久消費財―リサイクル
                           ― ガレージセール
                  ―――――― 紙類 ―――― 簡易包装
                          ―――― 教科書・八ガキの再利用
                          ―――― 牛乳パックの再利用
             不用品の情報交換 ―――――――― ガレージセール
                         ―――――――― PTAなどでの交換

  (4) ゴミ問題と「KANTA」

 ゴミ問題は私たちの生活に必ず付随してくる問題であり、増え続けるゴミ問題解決には市民の−人一人が真剣に考え、行動をおこしていかねばならな い。しかしこれまで、コミ問題にかぎらず、清掃事業は行政がとりしきってきたし、住民も役所の仕事として無関心ですごしてきた時代も長かった。近年市民社 会が環境保全に熱心にかかわってきたため、もっとも身近な環境問題としてゴミ間題にも関心が強くなってきている。ゴミ処理は税金でまかなわれているのであ るから、税金を負担している住民がこの問題の参加する権利は当然である。しかしこの権利は同時に義務も伴う。グリーンコンシュウマー(環境に配慮した消費 者)として行動する義務である。すべてが大きく変わろうとしている。住民の役割と責任はますます重くなる。自分だけがゴミ問題に無関心でいることは許され ない。今後提案されるであろう「ゴミの有料化の実施」などの政策議論も住民参加の典型的な例として一人一人が考えなければならない間題であろう。
 もうひとつ環境保全に強くかかわってきている組織にNGOがある。欧米ではNGOが環境問題に対して積極的 に政策提案し、行政に圧力をかけ、環境保全に取り組んでいることは有名である。日本のNGOの力はまだそんなに強くないが、今後は市民運動の代表として NGOの役割と責任は重要になる。「KANTA」は環境保全をかかげる環境NGOの1つとしてこの重責を担わねばならないし、それが時代の要請であり、社 会の要請でもある。廃棄物処理問題はここで述べたゴミ(−般廃棄物)のほかに産業廃棄物の処理問題もからみ、毎日の新聞紙上に話題にならない日はないほど 紛争も多発している。廃棄物処理問題は、私達の生活活動や経済活動そのものであるから最重要問題として環境NGOたる「KANTA」の重要な活動課題に位 置づけられる。たんにゴミの分別の細分化を主張したり、処理場の設置に反対すればよいというものではない。
 NGOの役割とは次のようなものが考えられる。
 1)ゴミ処理の実態と処理計画等の環境情報の公開を行政に求め、住民への十分な情報開示への手続きを進め、住民参加の環境づくりをする。
 2)これらの実態と情報を実際に調査してみてその真偽を公表する。
 3)「コミの適正処理とは何か」「地域に受け入れられる地域融和型処理または処理場とは何か」等の問題について自ら研究した理論的、実践的武装のうえにたつ政策提案をする。
 4)ゴミの排出抑制への「クリーン・コンシュウマー運動」の先頭に立つ。

 ゴミ問題への運動はなによりも地域と密着した具体的な行動でなくてはならない。ごく身近な問題として始めよう。多くの会員の皆様のご意見と行動に期待がかかる。(竹)
                           「トラスト関西 1999.12」より転載